住宅がきちんとしていれば、賃上げに血道をあげなくてもよくなるのではないか、と考える人は少なくない。日経連による賃金の国際比較では、日本の名目賃金は、アメリカや西ドイツとほぼ肩を並べる世界最高水準に達したが、日本は土地価格が異常に高いので住宅費用は欧米の数倍に達し、購買力から見た実質賃金はアメリカの約四割、西ドイツのほぼ半分にとどまっている。そして、土地政策の不在などを放置したままの賃上げには問題がある、ともいっている(朝日、七九年一月四日)。
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その結論はともかくとしても、住居費が少なく、安心して住める住宅さえあれば、賃上げ問題も現在とは異なった様相を呈する可能性のあることは十分考えられる。逆にいえば、住宅政策や土地政策を放置して、いくら賃上げを行なっても、生活は本当には豊かにならないのである。